リーマンショック以降、日本の消費者は製品・サービスにこだわりはなく、低価格がこだわりのポイントになっているとの一般論がよく聞かれるが、果たして、消費者の購買意識の実像はどうなのか。
リーマンショック以降、消費者が商品やサービスに何を求めているかなど、購買意識の実態を把握するため実施された消費者購買動向調査」の結果が、4月21日、経済産業省から「報告された。
ネットショッピング利用経験は9割以上、3ヶ月の平均利用回数は5.7回
ECに関する事項として、ネットショッピング利用経験は9割以上、3ヶ月の平均利用回数は5.7回。平均利用金額は5.13万円にも達し、他の通販に比べ、「ネット通販」が突出している。また、情報源としての口コミの影響力の高さも報告されている。
- 通販の利用媒体で、ネット通販が一位
(「ネット通販」は93.2%、「カタログ通販」は68.9%、「テレビショッピング」32.5%) - ネット通販の利用率が高い年齢層は男女とも40歳代。さらに子育て層や要介護層の利用率も高かった。
- チャネル別顧客満足度(CS)ではネット通販が1位、カタログ・テレビ通販が2位
「消費者購買動向調査ーリーマンショック以降の日本の消費者の実像」
調査結果要旨としてサマリーされた6項目を以下に引用します。
1.消費にあたって重視する要素
価格よりも信頼、安心。
日本の消費者は製品・サービスにこだわりはなく、低価格がこだわりのポイントになっているとの一般論がよく聞かれるが、この点は、否定された。
「信頼」、「安心」が消費者の最優先事項であり「低価格」を上回る。これらの非価格要素への「こだわり」は、女性、高齢者ほど高くなっている。また、価格を下げると、消費者は、さらに価格要素を重視するようになり、際限なき価格競争に陥ることが数量的に確認された(たとえば、食品の場合、2割安くすると、価格の重要度が48.9%から59.6%に上昇する)。2.消費したいもの
生活を楽しむものにお金を使いたい
お金の使い途について、消費者は、消費をしたくないわけではない(貯蓄は5位に過ぎない)。しかし、在来の典型的商品支出ではなく、「趣味」、「食事」、「旅行」、「本・雑誌」といった生活を楽しむものにお金を使いたいという傾向が顕著。3.サービスに非価格競争の余地
女性、中・高齢層、子育て世代を中心にサービス提供へのニーズが高い。
ものづくりとは言っても、消費者は、「連絡すると、修理・交換・設置に来てくれる」、「お客様相談窓口の常設」といったサービスを重視。特に、女性、中・高齢層、子育て世代にサービス提供へのニーズが高い。ここに非価格競争の余地。かつ、分厚い取扱説明書と設置・操作が複雑な商品への不満感を解消する製品開発に機会あり。4.消費者にとっての信頼できる情報源
「口コミサイト」が圧倒的。
消費の選択の際に信頼できる情報源とするのは、「口コミサイト」が圧倒的。実際に消費した人の感想を事前にみてバリュー感を判断する消費形態が定着。この厳しいスクリーニングに残れないものは売れなくなっている。消費者も、使ってみて良いと思った情報は、メールや口コミサイトへの書き込みを通じて発信する傾向。したがって、消費者の評価は、消費動向に強く影響。
一方、使ってみて悪かった感想は、企業へ発信する傾向。これらの開発部門へのフィードバックが企業の成長を決定する。5.消費者への流通チャネルが構造変化ーネット通販が大きなチャネルに
特に、40代の多忙な層、子育て層、要介護者のいる層で。
ネットショッピングは9割、テレビショッピングは3割、カタログ通販は7割が利用経験あり。特に、ネットショッピングは、消費者の平均で、3ヶ月で利用回数が5.7回。利用金額は、5.13万円にも達する。特に、男女ともに40代の多忙な層、子育て層、要介護者のいる層でネットショッピングの利用率が高くなっている。また、消費者の自由時間が、平日、休日ともに、午後9時~深夜1時にかけての時間帯に集中しており、昼間のみにショッピングができるビジネスモデルでは、限界が生じている。
6.企業側の対応
依然として存在する消費者と企業経営層の認識の違い。
企業にとっての消費者情報の入手は、消費者対応部門を窓口にした入手は、大半の企業が行っているが、ネット上の口コミサイトへの書き込みの確認といった積極的な情報収集は、半分以下の企業にとどまっている。また、故障・問題発生時の対応については、消費者は、「アフターサービスの内容」や「解約方法」といったサブスタンスのある情報を求める一方で、企業の経営層は「誠実な消費者対応」、「企業の信頼性」などのイメージを重視。消費者と企業経営層の認識の違いが依然として、確認される。
価格競争に陥らないためのキーワードは「信頼」「安心」
デフレ状態では、消費者の購買意識として「低価格」を重視する傾向のみがクローズアップされがちであるが、この調査では、全体的には、価格よりも、「信頼」「安心」が重要視されており、特に購入決定権を握る女性において、その傾向が顕著であるという結果が示されている。
その一方で、「価格を相場平均より2割下げた場合は、消費者の意思決定における価格の重要度が更に10ポイント上昇する」といった調査結果も出ており(例えば、食品の場合、価格を2割安くすると、価格の重要度が48.9%から59.6%に上昇)、価格を下げてしまうと、消費者は更に価格を重視するようになり、際限なき価格競争に陥らざるをえなくなることが暗示されている。
価格競争で勝負するよりも、確かな品質やサービス、きめ細かい顧客対応などで「信頼」や「安心」を提供し、消費者に選ばれるショップをめざすことが、利益確保への近道のようである。





